AI時代に、人から買う理由はどう変わるか
はじめに
今回は、Zoomでお話ししようと考えていた内容の一部を、文章でお届けしたいと思います。この話は、皆さん自身がAIを使っていても、使っていなくても関係があります。なぜなら、皆さんのお客様を含め、世の中がAIを使い始めているからです。
かつてインターネットの登場によって、情報の集め方、商品やサービスの売り方、そしてビジネスそのものが大きく変わりました。今回のAIの登場と急速な進化も、それと同じ、あるいはそれ以上に世の中を変えていく可能性があります。そして、その変化は未来の話ではなく、すでに始まっています。
以前Zoomでもお話ししましたが、私自身、法律事務所や会計士などの専門家へ相談する機会が大きく減りました。これまで専門家へ依頼していた仕事のかなりの部分を、今ではAIを使って自分でできるようになったからです。当然、専門家へ支払う費用も大きく減っています。そして実際に、AIの影響によって仕事や売上が減り始めている専門職も出てきています。これは、ライフコーチや講師、コンサルタントなど、私たちに近い仕事も例外ではありません。
その意味では、これから自分のビジネスをどうしていくのか、ある程度の危機感を持って今回の内容を読んでほしいと思います。
ただし、単に「AIによって仕事がなくなる」という話をしたいわけではありません。大切なのは、環境が変わった時に、自分たちの提供する価値をどう変えていくかです。
今回の内容には、そのためのヒントと、これから自分のビジネスを考える上でのテーマも入れています。ぜひ「自分の場合はどうだろう?」と考えながら、読み進めてみてください。
1|「知識を持っている人」の価値が急速に下がる
これまで、講師や専門家の商品価値の大きな部分を占めていたのが「その人しか知らない知識」でした。「専門家に聞かなければ分からない」「講座を受けなければ学べない」。情報そのものに希少性があったため、知識を持っていること自体が商品になったのです。
しかしAIの登場によって、この前提が大きく変わりました。知りたいことを質問すれば、AIは大量の情報を集め、整理し、比較し、その人に分かりやすい形で説明してくれます。さらに「自分の場合はどうすればいい?」と聞けば、ある程度の個別アドバイスまで瞬時に返してくれます。
つまりこれからは、「私はこれを知っています」という知識の提供だけでは、ビジネスとして以前より成り立ちにくくなっていきます。
特に影響を受けるのが、「知識を教えること」を中心にしてきた講座や情報商材です。AIから無料、あるいは低価格で得られる情報と同じものを提供しているだけなら、お客様にとって、わざわざ人から買う理由が弱くなるからです。
では、これまで知識やアドバイスを提供してきた講師、コーチ、コンサルタントなどは、AI時代に何を商品にしていけばいいのでしょうか。その答えの一つが、「知識を教える人」から「実際に変化を起こせる人」へのシフトです。
2|「教える人」から「変化を起こせる人」へ
例えばAIに、「自信をつける方法を10個教えて」と聞いてみてください。おそらく、かなりまともな答えが返ってきます。
では、その回答を読んだ10人全員が、自信を持てるようになるでしょうか。おそらく、そうはなりません。なぜなら、「何をすればいいかを知ること」と「実際にできるようになること」は、まったく別だからです。
これはダイエットでも、ビジネスでも、人間関係でも同じです。方法を知っていても、行動できない。始めても続かない。自分の場合はどこでつまずいているのか分からない。こうした部分は、情報を渡すだけでは解決できません。
だからこそ、AI時代には人間が提供する価値の中心が、「情報を渡すこと」から「実際にその人をA地点からB地点へ動かすこと」へ移っていきます。
例えばコーチであれば、「良いアドバイスをする」だけではなく、なぜその人が行動できないのかを見抜き、その人に合った方法を考え、実際に行動が変わるところまで伴走する。講座であれば、「何を教えるか」だけではなく、受講した人が実際に何をできるようになるのかまで商品設計に組み込む。
AIは、答えを教えることが非常に得意です。だからこれから人に求められるのは、「答えを知っている人」であること以上に、その答えを使って「変化を起こせる人」であることなのです。
3|「その人から買いたい」が、以前より重要になる
AI時代には、もう一つ大きく変わることがあります。
それは、お客様が「誰から買うか」を選ぶ理由です。
これまでは、「この人が答えを持っている」「この先生しか教えていない」ということ自体が、購入する大きな理由になりました。
しかし、同じ質問にAIが答えられ、似たような情報も簡単に手に入るようになると、「答えを持っているから、この人から買う」という理由は弱くなっていきます。
そこで、より重要になるのが、
「この人の考え方が好き」
「この人なら自分を理解してくれそう」
「この人と一緒に進みたい」
という、「あなたという存在への信頼」です。
ここでいう信頼とは、単に「良い人だと思われる」ということではありません。
その人と時間を過ごすと、どんな気持ちになるのか。話をした後、自分のモチベーションは上がるのか。それとも下がるのか。一人では気づかなかった自分に、気づかせてもらえるのか。自分では見えていなかった問題や可能性を、指摘してもらえるのか。その人の話を聞くことで、自分自身が成長していく感覚があるのか。そして、「この人は自分のことをちゃんと見てくれている」「自分のことを理解してくれている」と感じられるのか。
こうしたことが、これからますます重要になっていきます。
なぜなら、情報だけならAIから得られるからです。
しかし、「この人と話すと前に進める」「この人と関わると、自分一人では見えなかったものが見えてくる」「この人と時間を過ごすことで、自分が成長する」。こうした価値は、単なる情報提供とはまったく違います。
そして今挙げた一つひとつは、実はこれからビジネスをしていく上で、それぞれが非常に重要なテーマです。何を知っているか。何を教えられるか。
それだけではなく、
「自分と関わった人に、どんな変化を起こしているだろう?」
「自分と時間を過ごした人は、どんな気持ちになっているだろう?」
「自分だからこそ、その人に与えられるものは何だろう?」
一度、じっくり考えてみてください。
AI時代に「人から買う理由」を考えることは、結局、「なぜ、この人は自分から買いたいと思うのか?」という問いに向き合うことでもあります。その答えの中に、これからのあなたのビジネスの核が見えてくるはずです。
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